きのこ狩りの残党

私が見ているアイドルの世界

その0を超えて

 

0が1になる世界の尊さは書き残しておきたいと、ずっと思っていた。ヲタクとして忘れたくない感覚だなって、客観的に見つめて自分の気持ちと重ねたこと。

気付けばそれから1ヶ月経ってしまって、鮮度も何もあったものではないけれども。梅子冷蔵庫にも野菜ためがち!ライライライラスノーマンズr
 
 
 

 
 
 
スノマニ名古屋にお誘いしたお友達が2人いる。

一人は割と早い段階で。いつも心やさしくておだやかで、露天風呂につかるようにしみじみと自担にメロっている黒のオンナ(最近忙しそう)。

もう一人は本当にギリギリ3日くらい前に。出会って1年くらいかな、文字だけのお付き合いでもわかる、上品でおだやかで視点が独特でおもしろくて、達観してるなあと感じている緑のオンナ。

2人とも今回チケットが取れていなかった。
 
黒のオンナはもちろん目黒担の歯医者さんで、緑のオンナはおやつ作りが得意なカエルちゃん…いやこれ字面だけ見たら何のおとぎ話始めるつもり?
 
 
17日の夜公演だったので、夕方、駅で待ち合わせ。

歯医者さんとは私が歌舞伎に行った時ぶり、カエルちゃんとは初めまして。超絶人見知りなので(これを読む何割の人が信じてくれるのか、という感じですが)、実はカエルちゃんと会うのに心の奥底ではソワソワしていたものの、この日は本当にテンションがおかしかったので、ただただ夕方の笠寺に溶けているヘラヘラした緑色のヲタク、という風景だったと思う。
 
茜色の逆光に包まれながら、私は「これが私のいつメンです」と2人に紹介した。アナザースカイかよ。

 
歯医者さんは黒は着ることがないと前に言っていたけれど、バッチリ黒いお洋服で来た。チケットない時から準備していたらしいKawaiiよね〜!カエルちゃんも急にお誘いしたにも関わらず緑のお洋服だったKawaii

駅前でお土産のお菓子交換会始まったの笑ったし、お菓子の話はみんなでその後1週間し続けた。
 
 
いろんな巡り合わせから歯医者さんとカエルちゃんをお誘いしたのだけど、私は会う前から密かに「あの2人、結構雰囲気似てるかも」と思っていた。

カエルちゃんのことはツイッター上でしか知らなかったけど、共通点を上げるなら、おだやかで品があってやさしい雰囲気で、の割にあっさりしてて、ワードチョイスにセンスがありすぎるから頭がいいに決まっている。そして、ヲタク的にいい意味で変態。いい意味で。いい意味で。大事なことなので3回言う構文。

だから、なんとなく並んでめめあべしてるのも想像できて、おっ、いいな、なんかかわいいなってニマニマしていた。一方的に。

せっかくコンサートに入るその時、1人でだって充分うれしい、楽しいけれど、誰かと喜びを分かちあえたらもっともっと楽しくなるんじゃないか。そう思っていたから、2人の気が合うかとか楽しさを共有できるかは私の想像でしかないけど、やっぱりいい気がするぞこの組み合わせ!
 
 
入場の時、初対面の2人が並んでるのを見ていて、大人になると誰とでもその場を温めて過ごせるものだなあと思ったり、きっとお互いに相手に合わせるのが上手な人たちだから、思った通りいい時間になりそうやなとうれしくなる。親戚のお見合いおばさんか。

うれしいしおもしろいし楽しいし、ちょっと本当にテンションが振り切れていたので、チケットは渡辺のオンナのスマホの中やというのに、昼も通ったチケット確認のエリアを私が先頭切って通ろうとした。そもそもスマホを手に持つことさえしていない。丸腰すぎて係の女の人も無言。
 
俺の手がティケット、というわけではない。
 
ごめんなさい。




 

 
私は歯医者さんとカエルちゃんとは別々の席だったから、バタバタとしながらも本当に本当に楽しい時間になったらいいなと願って別れた。
 
この世のチケットは譲り譲られを繰り返す。私は譲られることの方が断然多いヲタク人生ですけれど、今回は偶然にもお譲りする側となり(厳密にいえば私が当たった分ではないけれど)、2人のおかげで、わずかながらこれまで自分が誰かにチケットを譲られて幸せをもらってきたご恩を返せたようでうれしかった。
 
何より、声を掛けた時に喜んでくれたのがもう!うれしくてかわいくて、私まで幸せ!


誰しも手元に舞い込んだチケットの行き先にはいろんな理由や価値観や事情があるものやけど、私は半径2mくらいにいる友人たちがみんなうれしいとうれしい。ヲタクとしてこういう時、友達が「みんな」うれしいというのは案外難しいし、今回だって行けていないお友達もいるのだけど、1人でも多くのお友達がうれしいを抱きしめられたらいいなぁってずっと思ってる。




終演後、アイドルのキラキラを浴びて脳内絶賛お花畑、ヘラヘラとしゃべり続けている私に着信があった。

電話の向こうのカエルちゃんが「時間があったら、ちょっと会いませんか?」と言ってくれて、その声がすごく弾んでてかわいい。可視化するなら細やかで煌めくラメみたいな。私までテンション上がっちゃうような。え、まだそれ以上上がるんか自分?という感じですが。


渡辺のオンナとの会話でやたら待ち合わせ場所の候補として挙がっていた「自販機の前」あたりにいるらしい。ガイシ目印なさすぎ自販機自販機言うけどどこやのん、と話してる時は思っていたけれど、現地に行くとたしかに微妙に存在感がある「自販機の前」。

そこで並んで待ってくれていたカエルちゃんと歯医者さん。2人を包むように可視化されたラメがやっぱりある!気がする。キラッキラが見えるような、それくらい、いいお顔をしている。


キャーッ!と再会する様子はJKのノリ。全員30越えた社会人(しかも割とちゃんとしてるはず)やけど。日々粛々と生きる30over社会人女性のマインドをJKに変えるアイドルのすごさよ…ルーズソックス履いちゃうぞ。

ごめんなさい。


開口一番「どうだった!?」って聞いたら、神妙な顔で歯医者さんが「目黒くんに『ありがとう』って言ってもらった…」とか言い出すもんだから、みんなでギエエエエエ!!!となる。大事なことなので太字でデカめにしてみました。

横でカエルちゃんが「私も見てました!」って再現が始まって、またギャアアアア!!!元気な概念上のJK。よく見えるお席だったみたいで安心したし、もれなく食らってる歯医者さん、、、よかった、よかったねぇ!


「梅ちゃんたちはどこで見てたんですか!?」「いいところで見てくれてたらいいなあって言ってて!」とか言ってくれるのエンジェルかな、名古屋の即席めめあべコンビ果てしなく愛した……!


藍色の空の下、ガイシから駅までの250m・徒歩3分の距離を6人で歩く。ここで私は「壊れたファービー」というえげつない異名をつけられるのですけど、たしかに一生しゃべっていたファーブルスコ。


きっと、自販機の前で再会してからのトータルの時間って30分もなくて。ほんのわずかなこの時間が、みんなのおかげで公演中に匹敵する楽しさだったのは間違いない。

歯医者さんもカエルちゃんも、Snow Manに会えて、目黒と阿部さんに会えて、本当によかったなぁ。2人のおめめがキラキラ輝いていたのも、目黒にファンサもらって呆然…の歯医者さんも、実はSnow Manのライブ初めてだったカエルちゃんも。

2人を通して私までうれしい気持ちをたくさんたくさんもらって、スノマニ名古屋の思い出は、心の中の今年いちばんの場所に飾ってある。





今回私はチケットに恵まれていて、それは言ってみれば「運」やねんけど、それでもこの恵まれた環境に慣れていたかもしれない。この短期間でも。

何度か観られる、とか。次がある、とか。


それも別に悪いことじゃないけど、これは当たり前じゃないから慣れない方がいい。


自力では会えなくて立ち尽くしたこと、何度もある。この世がザラザラに思えて、私は人間ができてないから心を閉じて鉄壁のミュートを敷いて。

そんな時に自分で探して譲ってもらったこともあるし、お友達に助けてもらったこともあるけど、行けることになったら突然色は鮮やかに見えるし、ほんとに宙に浮くんちゃうか?ってくらいの浮遊感。年甲斐もなくスキップしたいくらいの高揚感。令和の子どもは、うれしくてスキップするのだろうか。

とにかく尊い1回の公演。そこに流れる時間を丸ごとぎゅっと抱きしめたい。そんな、0が1に変わる世界。0と1では世界が違いすぎるのを知っている。「1回」の大切さは、私にとって忘れたくないもの。


だから私は2人の友人が「大好き」に会えたことをとってもうれしく思うし、私にもキラキラをわけてくれてありがとう。大切な感覚を思い返すことができてよかった。あまりにも目が輝いていた2人とも、最高にかわいかったなぁ!


阿部誕との交換が見つからなくて大変だったこのころ。その見つからなかったことも大正解で、きっと最初からあのメンバーで、こうなるように決まっていた。

そう信じて疑わない、2021年の秋です。