「けれども、自分と違う神様を信じる人たちのしたことでも涙がこぼれるだろう?」
THE GREATEST SHOW-NEN『銀河鉄道の夜』最終幕で私がいちばん好きなセリフ。カンパネルラが語るうちのひとつです。
5週にわたってどこにともなくステマし続けた、グレショー・銀鉄のターンが終わってしまった。寂しい。ここ最近でいちばん寂しい出来事。
でも、寂しいながらも心にあるのは穏やかな気持ち。とっても良いラストだった。大好きな舞台だなって思って終われた。エンターテイメントに触れるハードルが上がってしまった今の時代に、こんなにも好きを抱きしめられる舞台と出会えるって幸せなこと。
ということで感想文もラストです。よかったら、20分見てから読んでね。20分ね。
“劇団タンクトップス”見納め!!ついに銀河鉄道が、終点サザンクロス駅へ!
⚠︎終了まで1週間以上!多分次のグレショー放送日あたりまで見れます。グレショー2週お休みだから(かなしい)。
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この最終幕を見る前は、ものすごい喪失感に襲われていた。銀鉄のことが大好きになりすぎて、終わるのが寂しくてつらい。次の作品なんて見られる気がしない。重い。正門の担タレかな?って思うくらいに重い。待って待って!正門担じゃないから!!落ち着け?
(けど大晴くんも結構重いよ)
いよいよカンパネルラとジョバンニがお別れしてしまう。もともと思考の行き先が悲観的な私の中に梅雨前線が堂々と横たわるかのような湿気120%くらいのなんかそういう、意味わからんけどそういう感じで、結構暗い気持ちだった。梅雨ももう明けるというのに。
リアタイしようかななんて思ったけれども(毎週)、スッと寝た(毎週)。
リアタイせんのかい。
でも、銀鉄は銀鉄だった。
起き抜けに緊張しながら再生したら、おもしろいシーンめっちゃあった。小島よ、小島ずるいよ。家庭教師リチャと遭難姉弟にまた会えるなんて思わんかったやん。お前らまだ電車乗っとったんか。てか遭難姉弟のサソリ座漫談やばい、同時通訳スタイルは声出して笑うやつ。スコーピオン南無阿弥陀仏イン井戸。
寂しさの中に輝く一筋の小島。
そういえば私ね、あのお姉ちゃんの方が小島やと思ってなくて。鹿殺しの俳優さんかな?こんな感じやったっけ?って思って見てた。小島かよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(逆に気づかないのなんで)
サザンクロスでのカンパネルラとジョバンニのお別れのシーンが大好きだった。
一緒にどこまでも行きたい、無理だと気付いてはいても行けるって思いたいジョバンニと、ジョバンニにはっきりお別れを告げるカンパネルラ。私の心の中の婆が大判のハンカチどころか、何ならスポーツタオルを濡らしている。正門の『染、色』記者会見か。
原作でこんなところあったかなって確認してみたら、ふとした瞬間カンパネルラの姿はもうどこにも見当たらなかった、っていうとてつもなく曖昧な別れ方だった。賢治遣る瀬ねぇぇぇ!
賢治が書いた別れ方、それがオリジナルであり事実なのだけど、グレショーの銀鉄があんなに素敵なお別れとして描いてくれたこと、ジョバネル強火担の私はなんだか心が救われた。
「この宇宙にあるものはもともと一つ。ジョバンニとぼくも一つなんだから、寂しがらなくても大丈夫」と伝えるためにあふれ出る宇宙や化学や数学、哲学の話。優等生のカンパネルラからこぼれる、やさしい知識の泉。カンパネルラは自分の死を自覚して、少し大人になったような感じさえする。IQ5くらい上がっとった。東大B判定かな(B)。
ジョバンニが「ぼくもここで降ります!」と訴えるものの車掌に制止されて「この人は今夜、遠い所へ行くんです!」「君はその切符で、本当の世界の火や激しい波の中を大股でまっすぐ歩いて行かなければいけないよ」って諭される場面、少し離れた所にいるカンパネルラのお顔がめちゃくちゃ良かったので全人類はTVerしてほしい。モンペヲタクの希望は、もはや規模が億単位。
☟地球上に住む78億7500万人へ。
“劇団タンクトップス”見納め!!ついに銀河鉄道が、終点サザンクロス駅へ!
大晴くんがあんな表情を見せてくれるなんてびっくりした。泣きそうな、でも涙をこらえてちゃんとお別れする決意が見えるような。本当に本当にカンパネルラでしかなかった。何よりもグッと胸に突き刺さった。
前にも書いたけど、配役を聞いた時は失礼ながら大晴くんにはハードルが高い役なんじゃないかなって思っていた。私は大晴くんは演劇向きの人ではないと感じていたし、パフォーマンスも得意分野じゃなくてむしろ発展途上。だからパフォーマンスシーンも多い、攻めた感じの舞台で、演劇の才能があるまっさんのクオリティと対等のところまでいけるのかなって思っていた。パワーバランス取れるかなって。ごめん、ほんとごめんね自担。
1回目を見終わるころには、そんな気持ちは無駄すぎる心配だったと判断、可燃物のごみ箱にぶっこんだ。果たして「心配」は燃えるゴミなのだろうか。
カンパネルラは大晴くんにしかできない、大晴くんだけのものに育った。優等生で根アカで天然スパイスも効いている、やさしいクラスの人気者。ゆるぎないカンパネルラがそこで生きていた。
舞台上でカンパネルラでしかなかった大晴くんは、なんだか見違えるように輝いて見えた。すごいすごい!!本当にすごい!!!
これまでのグレショーでがむしゃらに蓄えてきた経験値や引き出しに詰め込んだ技の使い方を学んだ、今この瞬間だったからこその飛躍のような気がしている。それだけじゃなくて、きっとこれまでに培ってきたアイドルとしての経験の数々も。これが「人生を乗せてする演劇」というものなのかな。
ただ見ているだけの1ヲタクだけれど、その成長のスピードにまた涙がこぼれそうなので、まっさんは今すぐ私にスポーツタオル貸してください!!
ていうか車掌、この時サトラレなくてよかった(そこ)。本当によかった。
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最後、翌日の教室のシーン。カンパネルラがいない以外は何も変わっていない日常の風景の中で確実に変わったジョバンニと、その影に確かに存在しているジョバネルが旅した銀河鉄道の夜。
天の川が何でできているか、先生の問いに話の冒頭とは打って変わってきっぱり答えるジョバンニ。あそこは正門良規の真骨頂という感じだった。こぼれ落ちる昨夜の旅の思い出、「ぼくたちは素粒子です」「昨夜、カンパネルラは第四次の汽車で行きました」──あんなの、心動かされない方が難しい。
カンパネルラから託された交換日記をめくって、ポツリポツリと『星めぐりの歌』を歌うジョバンニ。ジョバ歌声バリ渋…ちょっとしたブルースが響く教室。正門の女が尾崎豊って言ってたの、それなすぎて笑った。ジョバの父ちゃん酒飲みながら尾崎聴きそうやもんな。母ちゃんはLDHが好きそうやけど。
星めぐりの歌は、どこまでもやさしい歌だった。ジョバネルが交換日記して作った歌やと思うと胸熱…!ほんで、そうなると星まつりのロックアレンジver.とのコントラストが余計に際立つ。どうしてああなった。
そのまま、演者みんなが出てきて歌うラストが良すぎた。ジョバンニとカンパネルラを中心に掛け合いになって、合唱して、生で見ていたら絶対に泣いていたと思う。
ガタンゴトンガタンゴトンっていうところで電車に揺られているような振りが好きだった。舞台の中心にいるジョバネルが目は合うのにすれ違って立ち位置が入れ替わるところも、一緒にいられない二人を表しているように見えて好きだった。ガタンゴトンでお互いに背中を預け合うようなところも好きだった。
くっきりお話に線を引くエンディングではなくて、歌のまま、流れるままに終わっていく。小道具を外して最初に脱ぎ捨てたジャージを着て、みんなで劇場の外に出る。めちゃくちゃかっこいい!粋だなぁ!痺れる!!
静かな、穏やかな、凪いだ終幕が余計にお話の良さを際立たせる感じがして、心に残る、忘れられないラストだった。会場に響き渡る拍手がなかったことだけが少し寂しい。劇団タンクトップスの旗揚げ解散公演に、ここから惜しみない拍手を送りたい。
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銀鉄、とっても大好きな舞台になった。お金を払って劇場で見たかった。お話を丸ごと全部通しで観て、パフォーマンスの応酬、そのめくるめく世界を体感したかった。
生で演劇を見られることって、すごく贅沢なんだな。劇場のにおいを感じて、演者と同じ空気を吸う。ただお芝居を観るためだけの空間に身を置くこと。普通にできていたその贅沢を痛感する。まっさらなものを差し出されて、私の見たい場所を見て、どこをどう切り取るか。その中で自分にどんな感情が生まれるのか、どこのシーンのどんなセリフが心に突き刺さるのか、銀鉄でも感じたかった。
今となっては初回のチョビさんが放っていた厳しめの空気も懐かしいな。どんな人なんやろうって私まで背筋ピーン!で緊張したけど、求めるものがハッキリしていて、そのために全力で彼らを引っ張ってくれるかっこいい方だった。演劇愛の深さに触れた。「すごくいい本番でした」「すごくいい顔してます」って言ってくれた舞台後の言葉もうれしかったなぁ。作品を作るのに向いてる人たちだって言ってくれて、Aぇと出会ってくれて、うれしい。
作風が好みで突き刺さったのもある。パフォーマンスがたくさんで、精度も異常に高くて、その分お稽古との差が歴然だったから見応えがあったのもある。
でもやっぱり、大晴くんがカンパネルラで、相手役がまっさんのジョバンニだったから。私が心酔した理由はこれがいちばん大きい。大好きになれた作品の主演を大好きがしてくれて、とっても楽しい5週間でした。
(ちなみに、次の舞台なんて観れないかも、などとメソメソしていた私、予告の袴姿でテンションめちゃくちゃ上がっている。そのテンションで銀河鉄道を疾走できそう)(ジョバ門さん代わりに「ポッポーー!!!!」って走っといて)
いつか、劇団タンクトップスの再結成公演をこの目で見られたら、という夢を置いておきます。