きのこ狩りの残党

私が見ているアイドルの世界

3列目の虎、やさしくて青い桜に包まれた春の終わり ──『滝沢歌舞伎ZERO 2021』①

滝沢歌舞伎ZERO 2021』、私の短い春だった。


今、このような状況になってしまっては、その春を通れたことはものすごく幸運なことで、贅沢なことで。ただただ私はラッキーだった。


ツイッターでは感想を落とすのを途中でやめた。気力がなくなったのと、さすがにはしゃいでられないなと思ったのと。でもやっぱり、私は私の観たものを残したいと思う。


私の春は、そこにあったから。


ということで、4月22日夜公演の感想文です。



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幸運of幸運。もしかしたらこの後、奇跡の水とか壺とか売られんじゃないかっていうくらいのラッキーな春。

ひとつ前の記事にも書いた、友達が取ってくれた一般のチケットがあって、その後、イープラスの再追加が当選していることがわかった。震えた。


「機種変したりアプリが消えたら、チケットの再ダウンロードはできない」っていうイープラス側さんの注意書きに完全にビビって、前日までダウンロードするもんか!と思っていた。私のiPhone、渡辺の女に「今すぐ変えて」って言われ続けて数ヶ月レベルの絶不調なので。

ところが前々日の仕事中、「そろそろダウンロードしとかんかい」とイープラスから催促メールが来た。まぁ、さすがにそろそろいいかと気軽な気持ちでダウンロードしたら、画面を見て目が飛び出たかと思った。


さ、さっ、3列目!!!!?


見間違いかと思った。待って待って、2階やろ?とも思った。でもやっぱりどう見ても、1階席の3列目って書いてある。


ちょ、ま、え?


しかも1列目は潰してるって聞いてるねんけど…いやこれ実質2列目か…?

盆と正月どころか、GWもシルバーウィークも喜寿も米寿も私めがけて殴りかかってきてんじゃないか。動悸が止まらない。仕事中や、落ち着け?


HPで座席を確認した。下手寄りか?上手側の立ち位置が多い阿部さんと反対側、とはいえ2列目からの距離は、もはやそれどころではないだろう。

明後日の気温はどんなもんか、防振は置いていくのかいかないのか、突然焦り出した。

結局、防振は、「己の肉眼を信じろ」といういつメンのモンペによるありがたい名言を胸に刻んで置いていくことに決めた。こんな距離で歌舞伎を、阿部さんを見れることなんてそうそうない。肉眼でキャッチするやで!





当日、少しだけ末澤担の班長平野紫耀ぴ狂いの乙女に会ってもらって、演舞場の前まで送ってもらった。

入場まで、iPhoneは無事だった。よかった。ヲタクラベル付きのコーヒーを作りにいって派手に落っことして画面が少し割れたけど。それは無事と呼べるのか怪しいけど、入場できたからええんや。



実際に座った3列目、まず近すぎてスクリーンがめちゃくちゃでかいし、舞台が端から端まで見えない。前に1列分しか人がいないから目に入るものがあんまりなくて、開演までの間は視覚情報が極端に少ない。そして、水避けのビニール袋が貼ってある。これは、かの有名な…!

しかもね、下手寄りって勝手に思ってたけど、行ってみたらほぼドセン。少し上手寄り。歌舞伎のドセンて!しかも気持ち上手側の女やん、勝訴!


しかし、私はまだビビっている。何回も画面が表示する座席を見た。これ、今から違う人来るんちゃうん!?実は私の席ここじゃないんちゃう!?強迫的なビビり方。


でも多分、見た感じは全然ビビってなかったと思う。

なぜなら、着ているものは緑地の虎柄のワンピース。明らかなる阿部担。なかなか派手目の虎柄は、こんな派手な服着てビビってる人いない。

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これは、渡辺の女が某ZARAで見つけてきたワンピースで(某が仕事せぇへんなぁ)、かわいすぎて一目で気に入って、当落が出るずっと前から「歌舞伎に着ていく!」って用意していたもの。

一時は全滅で、いつ着れば…と思ったこともあった虎ワンピがこんなえげつない席で日の目を見てうれしい。


仲良しの正門沼の川獺乙女とザワ班長にもこの写メ送ったら「3列目の虎って呼ばれそう」って言われて笑った。

こんな派手なワンピース着てるヲタクがビビってるわけないよな。1人でスンッて座ってるしな。


という顔で、ビビり倒していた私の見たものたちについて書きます。前置きはこの辺で。






❀ オープニング

BGMが大きくなると暗転。いよいよ始まる、何も見逃したくない!全部全部私の脳みそのHDDに刻み込みたい!海馬がんばれ!!と思った。


緞帳のあたりに降りている薄いスクリーンには映画の海の映像。1人ずつ顔と名前が出ると、スクリーンの奥にいるメンバーにも1人ずつスポットライトが当たる。Snow Manもういる!

てかいつも思うけど、あのスクリーンって映像も流せるし後ろのものも透かして見せれるし、日本の技術すごすぎん?


阿部さんは上手側。上からピンスポが当たってるけど、周りが暗いのもあってはっきりは見えないのに、すでに王子様。微笑みの貴公子ジャン!阿部はすごいナ〜!!!生まれ持っての王子様オーラかよぅ!


❀ ひらりと桜

「春の踊りは、よーいやさー!」から、ひらりと桜のフォーメーションになる。その動きが素早くて美しいなと前から思っていたのだけど、近くで見ると、無駄のない動きが美しさをより際立たせていた。か…っこいいぃぃぃ!!!!!!!!!あの最初のフォーメーション、戦隊モノみたいなところね、阿部さんのポーズちょっと変わった気がするのだけど気のせいだろうか。


この時、すでにもうプリーツの衣装の虜。私は、あの衣装が、ヲタクして見てきた中でいっちばん美しい衣装だと思っている。阿部さんの上げた右手(だったか左手だったか)の透け感がきれいでガン見した。照明の黄色が透けて、青がより一層映える。絶妙が重なり合う。


私は桜が降ってくる瞬間を、とてつもなく楽しみにしていた。

2年前の歌舞伎では2階席のベンチウォーマーの名をほしいままにしていた私(なぜか2/3の確率で2階席)(2階1列目は絶景ですよ)、1階に一度しか入ったことがなかった。その時は中央くらいの列やったけど、1階で見る桜の迫力にびっくりしたのを覚えてる。

今回、運良く見られた1回目も3階最後列やったし、この距離の近づけ方は高低差で耳キーンってするやつ。だって3列目なんて桜かぶるやん。実質Snow Manやん。違う。

違うけど、本当に楽しみだった。どんな景色が見えるのか、桜から飛び出すSnow Manはどんなふうか。


イントロが鳴ってから桜が降るまで妙にゆっくり時間が過ぎて、あ、降ってきた!と思った瞬間から記憶がない。気付いたら、私は前からふわっと流れてくる青い桜に包まれていた。


少し離れた場所からやと、もっと迫力ある世界に見えていた。ドーン!って迫ってくる大群の桜の花。

でも、近くで見ると全然違った。

気付いた時には包まれている、明るくて柔らかい花びら。風に乗って前から前から私を追い越していく、青くて美しい桜のかけら。紙でできた花びらがやさしくチリチリと私を撫でていく。

すごくやさしいものが届いた。そんな感じだった。


Snow Manが桜からどんなふうに現れるのか、めちゃくちゃ楽しみだった瞬間は完全に見落とした。降ってきた桜にSnow Manとほぼ同時に包まれてしまうので、びっくりして面食らっている間に踊り始めている。これは、致し方ない。


私、歌舞伎の中で『ひらりと桜』がいちばん好き。とんでもない量の桜が降り注ぐ、美しすぎる異世界への誘い。光照らされる中で舞っている無数の花びらと大好きな人たち。

間近で観るのが夢だった。2階席だって、3階左列だって、どこからだって観られたらうれしい。でもずっと、あの桜を近くで見てみたい。大好きな衣装を着ている大好きな阿部さんをこの目で見たいって、淡く思い続けていた。


そんな夢が唐突に叶ってしまった。阿部さんの美しい立ち姿、折り目正しいパフォーマンス、王子様みたいな笑顔を全力でくらう。スポットライトが当たってない時も、自分のターンを待ってる顔がかっこよくて、桜をつかむ指が長くて、頭に次から次から桜の花が付いちゃうのもかわいくて(なんか今年めっちゃ付くんですよね)(ロレッタ使ってる?)、なんかもう…なかんかもう…一生分の「好き」を使い果たしそうだ!


顔に付いてしまった花びらを払う動きのスマートさや、別のメンバーのパートの時にスタンバイしている仕事人の顔や(なべこじのターンの時、客席に背中を向けながら、必ず隣の目黒か左方向の何かを見ている阿部さんが好きです)…全部の瞬間をこの目で見られてうれしい。

防振でのぞいているのは、その世界の中で阿部さんだけをトリミングしているようなイメージなのだけど、真正面から見ているとまた違う、ひらりと桜の世界を全身で浴びながら、その中で生き生きと動く阿部さんを追いかける感じ。


座席が舞台より低いから、立ち位置が重なってしまってひかるで阿部さんが見えなくて、「ひかるぅ…申し訳ないけど、ちょっとだけずれてくんね?」と思ったことも、だてさくのパート、後ろで2列になるところもさくまくんとかぶって見えなくて、「さくまぁ…ちょっとだけずれてくんね?」と思ったことも、キャビア、フォアグラを前にトリュフを掴みにいこうとしていたかのような、満腹感いっぱいのいい思い出。


余韻に揺れるプリーツが私が思っていたよりはるかに柔らかそうで自在に動くのが美しくて、この世界にある全てが美しすぎて見惚れた。大好きすぎて目に焼き付けたかった。終わってほしくなかった。

私の膝にも青い桜。不思議な夢みたいだなって、舞台を見ながら指先で花びらをさわった。そんなエモい情緒とは真逆に、右目のコンタクトがずっとずれそうだ。なんでだよっ!


❀ One Heart

ひらりと桜に全力をかける私なので、しかもパンフレットとか雑誌とかWSとか前情報もほぼ入れてきていないので、今年ラインナップに加わったこの曲への知識も意識も圧倒的に足りない。

会場からすすり泣く声が聞こえて「そういう歌なの?」ってなるレベル。そして未だにわかっていないけど。見地の広がらなさ。


阿部さんは2番目にソロがあって、みんな結構舞台の前に出てきて歌う。前回はその情報だけを海馬にメモしてたので、なんとなくしんみりした雰囲気の中で、体感私だけがそわそわしていた。

阿部亮平さんが1.5mくらいのところにおる…自分の歌うパートが終わってからは上の方を見ながら美しく微笑んでいて、恋の音がした。延々見てた。


阿部さんの立ち姿って本当に美しくて、小顔やし、背は高いし、骨が細くてシルエットが美。プリーツの羽織を脱いだら王子様みたいな衣装なので、これはもうディズニーレベルの王子。

手の骨がすごく細かった。テレビで見てる阿部さんのままだった。


ずっと阿部さんばっかり見ていた3列目の虎、視界には並んでいるメンバーの影が入っているので、こんなチャンスないな!って、ちょびっとだけ横一列に並んでいる9人を見てみた。背が、高かった(そこ)。


❀ 9剣士

阿部さんといえば9剣士!なイメージが強かった映画。誰が決めてくれたのか知らんけど、いいとこくれて感謝してる。ハム贈る。


まず、あの赤い衣装かっこいいよね…あれは血の赤なのだろうか。2019のSnow ManとJr.が入り乱れた白vs黒の構図も好きやったけど、9人がくすんだ赤をまとって一緒に闘う9剣士もかっこよかった。


3階席からは見えなかった、いわあべふかがシャキーン!って登場するシーンがめちゃくちゃかっこいい…!逆光シルエットとスモークがお寿司のワサビ並みに効きすぎている。佐久間的に言えば打撃。

映画やと、みんなソロか2人ペアなのに、いわあべふかだけ3人なのがなんとなく多いなぁって思ったのだけど、舞台上で立体的に見た途端に「華やかで映えるやん3人!!!」我、大歓喜。スタイルも並びのバランスも良くていい。


宮ちゃんみたいに雄々しさや、目黒みたいな骨太な動き、翔太みたいな少年マンガの主人公の如き殺陣、いろんなタイプがいるけれど、阿部さんの動きは流麗。流麗とは〈よどみがなく美しいさま〉です。

流れるように動いて、しなやかにぶった斬っていく感じ。普段の阿部さん本人からイメージする動きは特別しなやかというわけではないから、お稽古を重ねた上で得たしなやかさなんだろうと思いを馳せると、より胸熱すぎて蒸気で蒸し芋できちゃいそう。


その動きが細身のスタイルにも合っているし、切れ長の麗しいお目目にも合っていて、私はたまらなくなって地球を抱きしめたい。

ちまきがね、また似合う。斜め前髪からのぞくはちまき…時代物の少女マンガから出てきたのかもしれない。恋が止まらないのですけども?


多分阿部担みんな大好きなのが、背後から来る敵を剣1本でノールックで止めるやつ。カァックィィィィ!!!!!!!!あれ、どんな顔で止めてんのかな…阿部さんの背中しか見えないからお顔見たい…!今こそマルチアングルかドローンを召喚したい。


舌打ちは、思ったよりも舞台の前に出てこなかった。私、席が遠い時は本気で防振の民なので(そして当たり前にその方が多い)、3階席から見た時もただひたすらに阿部さんだけを見ていたし、細かな立ち位置とか位置関係はわからなくて。あ、思ったより遠いな?という贅沢な感想。

でも、敵を薙ぎ倒しまくった後の舌打ちなので、引きの画で見せるのが舞台としての正解なんだな、ということがわかる。敵がバタバタと倒れている中、舞台中央に立っていると美スタイルが際立ってなお一層かっこいい!!!

相変わらずお口片方上げるのがうまくて、鏡の前で練習したかな?なんて想像する。恋だね。


なんかもうこの世のものとは思えない近距離に頭の中とっ散らかりすぎて、腕筋を見逃してしまったのが反省点です。


❀ 変面

近くで見ても、からくりが全くわからない変面。ザ・ジャニーズな伝統芸能。この距離で拝めてありがてぇな、ひかるはやっぱでけぇな、と思いながら見ていた。

けど私はポンコツなので、距離感がバカになるほどの場所にいるせいで、どっちがこーじでどっちが目黒かわからなくなった。贅沢か。


ほんとに目だけ見えるなぁ、とか、息してる…シュコーシュコーってなってる、とか、ダンサーさんのメイクお見事だなぁ!とか、あ、次Maybeやな、Maybeか…阿部さん近くに来るんだな…うわぁこの距離に阿部さん…阿部のMaybe…とか思ってましたすいませんでした。気もそぞろ、とはこういうこと。





案の定、長くなってきましたね。②に続く!